2010年5月19日水曜日

ADOBE® CREATIVE SUITE® 5 デザインセミナーツアー in 名古屋で「テクニカルDTP」を紹介

2010年5月18日名古屋ミッドランドホールにて「ADOBE® CREATIVE SUITE® 5 デザインセミナーツアー in 名古屋」が開催されました。

地元企業として20分のセッション枠が用意されたので、「テクニカルDTP」を紹介させてもらいました。
CS5の発表のために集まった300名近い人たちを前にしたとき、なんてぇ安請け合いをしたもんだと反省。

CS5の話を聞きに来たのに、、、と思ってる人もいたんだろうな。。。まあしょうがないね!

当日話しきれなかった、伝えきれなかった内容を、ここに書いておこうと思います。
※当日の資料はこちら
テクニカルDTPというと、スクリプト使ってとか、自動組版とかの話でしょ、とか言われると困るのです。
それはあくまで、そういうこともできるよね、というだけのことであって、
もっと制作という部分にスポットライトをあてるべきだ、というところなのです。
またまた長い戯言。お付き合いいただけそうな人は、付き合ってください。

テクニカルDTPについて、20分で語れるものではないですが、せっかくAdobeさんのセミナーなので、

1.どんなにソフトウェアが良くなろうとも、使う側がその価値を理解して、その価値を対価に変えないといけないよね、
2.僕ら制作側(ソフトウェアを使う側)の人たちは、その価値を理解する必要があるし、
3.対価によって得た価値を、今度は自分たちの対価に変えていかないといけないよね、
と、いうことが言いたかったんです。

そうしないと、制作は環境も良くならないし、給料も良くならない。
ソフトウェアを出すメーカーさんも買う人がいなくなれば、オープンソースにでもしない限り続けられない。
作る側、使う側が共存できる関係になければ継続はない。
素晴らしいソフトウェアを開発する人たちも、それを使ってクリエイトする人たちも、みんないなくなる。
であれば、今、この時代はなんなんだと。僕らがやっていることはなんなんだ、ただただ衰退に向かうだけのことなのか。

どれだけ「お求めやすく」なったからって、金はかかる。
Adobeさんからして、開発してバージョンアップするにも金はかかるから、その価値の対価を求めているわけで、
僕らは制作という中で、価値を高めてその対価を要求すべきである、と思う。
そういった努力をせずして、現状に甘んじるのは負け犬だなと、自分に照らして思うわけです。

印刷費の中に制作費がコミコミなる時代に慣れすぎている僕も含めた制作側の人たちは、
作ることに自己満足しすぎて、そしてやりすぎている(時間をかけすぎている)部分もある。
クリエイティブでありたいならば、価値を対価に変えるべき。変えていくべき。主張すべき。
何も間違っていないと思うのだけど、どうなんでしょう。

勘違いしてもらうと困るのは、金を出せ、といっているのではない。
限りあるお財布と、でも今後こうしていきたい、というようなやりたいことがあるのなら、
順番にやっていきましょうよと。
今は、ただ作るだけ、その場しのぎの積み重ねが、今の状態を作り出していると気付かないといけない。

制作の仕事は、直接その版元となる会社から請けることもありますが、まだまだ印刷会社からお仕事をもらうことが多いのが実情。
印刷会社に比べれば、営業の人数は圧倒的に少ない。うちなんて一人もいない。
でもそういう会社だからこそ、「制作=物作り」を真剣に考えて生きている。
情報を伝える手段として、紙が減っていく中、ユーザー自身がその情報を得るデバイスを選択する時代に、
それを主に考えている人たちのビジネスにぶら下がって、コスト削減要求に応じる必要なんてあるのでしょうか。


営業が「ああ、そんなら他でやってもらうからいいや」「お客さんがここまでしか出せない」と言うならば、
それが、全うであると諦めるしかないのであるなら、そこに未来はないでしょう。
彼らは、その価値を対価に変えようとは何も思ってないということです。
ただただ価格競争に勝つために値下げを受け入れる。
お金を出す側、請ける側、作る側というところの変な上下関係が続くのであれば、この先、紙の世界なんて存在しないでしょう。
それは、「紙」を必要としないから、というわけではない気がします。

別に営業さんだけが悪いわけでもない。その価値を伝えられない、対価に変えられない体制、それを作り出している業界自体が悪いということになります。

オペレーターも、営業さんも、経営者も、お客さんもみんな悩んでるのに、
ポイントがずれている。
自らそうさせている、というところに全体で取り組まないといけない。

その不合理さ、矛盾を一番押しつけられるのは、誰ですか。結局、末端の制作です。
システム開発でいえば、プログラマです。

物が出来た後で、何か言おうとしても遅い。
出来てしまえば、彼らはというか自分も含めて、その苦労、こうした方がいいんじゃないか、ということは
きれいさっぱり忘れてしまいます。

作っているとき、その工程の最中(原稿作りから、DTP、校正、プログラミングなどなど)にこそ、
今の課題をクリアするためのヒント、次の時代へのヒントがいっぱいあるわけです。
だから、制作という工程を大事にしないといけない、ということなのです。

だって、確実に紙は減っていくんです。
ならば、制作の人たち、クリエイトすることが好きな人たちは、情報を提供する側のひとたち(出版社であったり、著者であったり、編集の人たちであったり)ともっとどうすべきかを一緒に考え、違う方、別の未来へ向いていってもいいと思う。
もっともっと、ものを言っていいと思う。

さてさて、みなさんどうお考えになりますか?